悲しき成功
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それまでは1日に40本吸っていたヘビースモーカー
禁煙した時に周りの者たちは皆驚いていた
お前がタバコを止めるなんてと
実はそこに悲しい思い出がある・・・
忘れもしない6年前の2月、私の誕生日の前日の朝のこと
長らく会ってなかった友人からの久しぶりの電話
しかし内容は驚きを通り越したものだった
「うちの嫁さんが今朝亡くなった」と
それからのことはあまり覚えてない
恐らく放心状態だったのだろう
別の友人2人に連絡したがどんなことを話したのかまるで憶えていない
ただ1人の友人に「ええっ、冗談だんやろ?」と何度も言われた時に
「冗談や嘘でこんなこと言えるかい!」と怒鳴ったことだけは覚えている
亡くなった友人の奥さんは頑張り屋で優しい本当に素晴らしい女性で
「ヤツにはもったいない嫁さん」と評判であった
友人と結婚してからも様々な困難がありながら2人で頑張って克服し
待望の初めての男の子が生まれてやっと安定した幸せな生活が送れるとなった矢先に発病
そして小さい我が子を残して逝かれた・・・
後で聞いた話では入院中も自分の病状を知りながらも必ず治ると信じて辛い治療を頑張り抜き
また同じ部屋のおばあさんも自分の命尽きる手前まで励まし続けたという
お通夜の日、そんな彼女を知る私たちは涙が溢れて止まらなかった
そして皆が口にする言葉は「何で?」の一言のみ
あとは言葉にならなかった・・・・
そんな折にタバコを断つことを決意した
何不自由なくきた自分にたった一つ辛抱することを与えようと
自分にとってすぐに出来ながら一番苦しいことが当時タバコを止めることであった
残された父子にこれ以上の災難が降りかからないようにとの願いを込めての願掛けであった
あれからもう6年も経つ
友人とはお互い忙しくなかなか会えないのだが頑張っているとの事
私の願掛けが効いたとは思わないがちょっと落ち着いた時に何か楽しみでもと
私がレクチャーしたアオリイカ釣りにハマりシーズンは欠かさず和歌山の海に出掛けている
ようで少しはお役に立てたようだ
時の流れによってもう思い出す事もほとんどなかったこの出来事が何故かふと夜勤中に思い出した
そして未だにこみ上げてくるものがある
何故に思い出したのかは不明だが最近のんびりと物欲にまみれて生きている自分自身への戒めかもしれない
もっとしっかりやらんかい!
そんな耳の痛い言葉が聞こえてきそうである・・・